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コンピュータートラブルの原因【ウィスカ】その対策とは

サーバールームにおけるウィスカとその対策方法についてご紹介します

2022年7月28日
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コンピュータートラブルの原因【ウィスカ】その対策とは

コンピューターのトラブルの原因に「ウィスカ」があります。

そもそもウィスカとはどのようなものなのでしょうか。

今回はその対策方法と内装下地材で注意すべき点についてご紹介します。

そもそもウィスカとは?
機器の故障や火災につながるリスク

ウィスカは金属表面に生じる針やヒゲのような結晶のことです。

結晶自体はとても小さく、目で確認することが難しいです。

照明などで強い光を照らして動かすとキラキラと反射したものが、ウィスカである可能性があります。

目視できるほど長くなったウィスカ
Schtone, CC BY-SA 3.0,via Wikimedia Commons

内装下地に使われる軽量鉄骨(LGS)の一部の部材には、錆びを防ぐために表面に電気亜鉛めっきが施されています。ウィスカはその電気亜鉛めっきから発生し、コンピューターの機器内部に入り込み電気回路をショートさせ故障を引き起こします

場合によっては火災につながる恐れもあります。

目視での確認が難しいため、トラブルが起きる前にウィスカを発生させないことが重要です。

どのように発生する?
ウィスカの原因とは

ウィスカの詳細な発生原因は未だ解明されていません

電気亜鉛めっき層の内部応力が原因の一つであるとされています。

電気亜鉛めっきを施した後2年以上経過すると、めっきした部材の中に残っている応力により金属の分子が押し出され、ヒゲ上に再結晶していきます。

ウィスカが何らかの理由で折れ、空調などの気流で運ばれることで機器内部に入りこみ、トラブルを引き起こすと考えられています。

※内部応力...熱や外力によって与えられた力が、金属類の結晶構造の内部に蓄積された状態のこと。

電気亜鉛めっき層の内部応力によりウィスカが発生

ウィスカを発生させないためには?
内装下地の表面処理について

ウィスカを発生させないためには、電気亜鉛めっきを使用しない部材で内装下地を施工することが最善策になります。

ウィスカが発生しない表面仕上げや部材は以下のものが挙げられます。

・溶融亜鉛めっき鋼板

・高耐食被膜(電気亜鉛めっきの上への塗装は不可)

・ステンレス材

サーバールームなどで使用する部材は、材質や表面処理を確認して選ぶようにしましょう。

サーバールームなどに最適
ウィスカ対策の天井・壁・床下地

サーバールームなどを計画する際、具体的に天井・壁・床下地はどのような部材を選べばいいのでしょうか。

(株)桐井製作所の製品を例にご紹介します。

天井・壁

公共建築工事で採用される『JIS A 6517』の規格品は溶融亜鉛めっき・電気亜鉛めっき等を使用しています。

天井の野縁受けや野縁、壁のスタッドやランナーなどの部材は溶融亜鉛めっき鋼板です。溶融亜鉛めっき鋼板はウィスカが発生しにくいと考えられるので、ステンレス材への変更などの対策は不要です。

しかし、天井の吊りボルトとナットについては電気亜鉛めっきであるため、ウィスカ対策が必要です。オーダーメイドで素地から処理する高耐食複合焼付皮膜に変更することで、耐食性の確保とウィスカ対策とすることが可能です。

鋼製床で使われる大引鋼と根太鋼は溶融亜鉛めっきを使用しているため、追加のウィスカ対策は必要ありません。

しかし鋼製床、乾式二重床(バリアレスフロアー)ともに支持脚のボルトとナットは電気亜鉛めっきを使用しているため、オーダーメイドで素地から処理する高耐食複合焼付皮膜に変更することが求められます。

まとめ
ウィスカ対策はBCPにも有効

今回はウィスカについて原因や内装下地材での注意点をご紹介しました。

サーバールームには重要な情報が保管されているため、BCPの観点からも事前にトラブルを回避できるよう対策を行いましょう

▼ 鋼製天井・壁下地について詳しくはこちら

LGS、軽量鉄骨、軽鉄とは? 用途や規格について

▼ 鋼製床下地について詳しくはこちら

鋼製床とは?高い強度と耐久性で幅広いシーンを支える床工法

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直床、二重床とは?快適な生活を支える床の構造


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