スポーツが行われる体育館や、大勢の人や荷物が行き交う商業施設などの床は、住居に比べてはるかに大きい荷重がかかります。
施設の用途や環境に応じた高い強度・耐久性をもつ「鋼製床」について、構造や性能、施工方法を含め詳しくご紹介します。
鋼製床とは?定義と構造
鋼製床とは、鉄等の鋼材を使って床下地を組む工法を意味します。
鋼材であるため、通常の木下地よりも強度や耐久性が高いというメリットがあります。
鋼製床の基本的な構造は下図の通りです。
主な構成材として根太、大引、緩衝材、調整ナット、調整ボルト、支持台が使用されます。
緩衝材から支持台までをまとめて支持脚と呼びます。
緩衝材に用いるクッションゴムや支持台の形状などの違いによって、各メーカーでさまざまな製品がラインナップされています。
現場ごとに求められる性能に応じて選択することができます。
鋼製床の用途とは?
体育館をはじめさまざまな環境に対応
鋼製床の用途として、主に次の3つが挙げられます。
鋼製床の用途1.体育館、柔道・剣道場などのスポーツ施設
スポーツを行う場所の床には、足腰への負担を軽減させ、転倒時の衝撃を吸収するためのクッション性が欠かせません。
鋼製床はクッションゴムを使用するほか、仕様に応じてコイルスプリングが追加されることで、優れた弾力性・緩衝性を発揮します。
また体育館向けの鋼製床を壁下地に応用する工法もあります。
壁に衝突したときのケガのリスクを抑え、競技者の安全性を向上させます。
鋼製床の用途2.商業施設、文教・老健施設などの一般施設
荷物の運搬や設置が想定される施設では、対策が不十分だと床が沈んだり壊れたりする恐れがあります。
鋼製床は強度が高く、高荷重に耐えられる強い床を構成することができます。
幼稚園や店舗、オフィス、ホテルなどが入居する複合施設では、階下へ物音が響かないよう配慮することが求められます。
遮音性の高い仕様の鋼製床にすると、騒音の伝達を防ぐことが可能です。
鋼製床の用途3.ウッドデッキなどの屋外施設
雨水や寒暖差の影響を受ける屋外の施設では、下地が錆びやすく床の崩落につながる危険性があります。
耐食性の高い鋼製床下地を使用し、長期にわたって安全に利用できる施設を計画することが大切です。
鋼製床の性能とは?
耐荷重、床高さ、耐用年数について
鋼製床は各メーカーでさまざまな製品が取り扱われています。
ここでは桐井製作所の鋼製床について性能をご紹介します。
鋼製床の性能1.耐荷重
下地材の施工ピッチにより200~2600kg/㎡まで対応可能です。
局部的な荷重が発生する場合は、仕上材を傷めないよう剛性の高い板材(t12mm以上の合板相当)を設置して荷重を分散させます。
許容荷重はプランによって異なるため詳細は問合せが必要です。
鋼製床の性能2.床高さ
約100~2000mmの範囲で床高さの調整が可能です。
2000mm以上の高さにする場合は、鉄骨等でのかさ上げが必要になります。
鋼製床の性能3.耐用年数
一般的に20~30年は使用可能です。
適切な設計施工と使用、定期的な点検、メンテナンスが長く使用するためのポイントになります。
鋼製床の施工方法は?
基本の6ステップと組床式のメリット
鋼製床で下地を組む際の基本的な手順は次の通りです。
施工1.墨出し
床コンクリート面をきれいに掃除してから、基準墨出しを行います。
施工2.支持脚設置
基準墨にしたがい、鋲打銃などを使って床コンクリート面と支持脚を固定します。
施工3.大引鋼設置
支持脚に大引鋼を固定します。受け金具下のナットを十分に締め上げます。
施工4.レベル調整
レーザーまたは水糸を用いてレベルを調整します。
水平を確認したら、ガタ・ゆるみが生じないよう確実に固定します。
施工5.根太鋼設置
大引鋼に根太鋼を固定します。
施工6.完成
以上で鋼製床下地の完成です。
この上に合板や仕上材などを張って床を仕上げます。
このほか、パネルと支持脚が一体となった置き床式の工法もあります。
支持脚のついたパネルを敷いていくだけで施工できるため、組床式よりも簡単である点がメリットです。
一方で組床式の方が強度は高く、部分的な補修が可能なため、経年劣化した際のメンテナンスが容易というメリットがあります。
まとめ
強度・クッション性・耐久性に優れた鋼製床
体育館や一般施設、屋外までさまざまな環境に対応できる鋼製床についてご紹介しました。
下地に加えて、制振材や不燃ボードなどを組み合わせることで性能を高めることができます。
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