過去に屋内プールや給食センターの天井が落下したというニュースが報じられています。
一見すると何の関連性もない施設ですが、実は「湿気・塩素による腐食」が原因の一つとして共通しています。
今回は湿気や塩素が天井に与える影響や、安全な空間づくりに必要となる対策についてご紹介します。
湿気・塩素の影響がある環境とは?
腐食により起こる被害について
次のような場所では湿気・塩素による影響が大きく、いくつかのリスクが想定されます。
[湿気・塩素の影響がある環境]
・屋内プール
・給食センター
・食品工場
・市場、ほか
湿気・塩素への対策が求められる施設
[天井への影響]
・プールや食品の製造過程で水蒸気が立ち上り、天井に結露ができる
・換気や断熱が不十分だと湿気の滞留を招く
・天井材が湿気を吸って重くなってしまう
・水蒸気が流入し、天井裏が高温多湿になる
多量の水蒸気により天井に結露ができる
[想定されるリスク]
・天井裏設備や下地の腐食が進み、故障や脱落の危険を招く
・特にプールは素肌に近い状態で利用するため、天井材が落下するとケガのリスクが大きい
・天井は清掃がしにくく、結露を放置すると汚れやカビが発生し、食品衛生の問題につながる
対策が不十分だと天井にカビが発生してしまう
もとから天井を設けない、あるいは改修で天井を取り払うケースがありますが、特に給食センターや食品工場では虫やごみの混入を防ぐために天井の設置が必要不可欠です。
また天井を設けないと水蒸気が直接空調や照明等の設備に届き、劣化が進むことが懸念されます。
さらにプールのように広くて高い空間の天井は特定天井(※1)に該当する可能性があり、国土交通省告示第771号で規定された方法での設計が必要になります。
特定天井の要件
※1 特定天井とは:6m超の高さにある、面積200㎡超、質量2kg/㎡超の吊り天井で、人が日常利用する場所に設置されているもの(国土交通省平成25年告示第771号より)
▼ 耐震天井と特定天井の違いについてはこちら
屋内プールや給食センターの天井に必要な性能とは?
おすすめの工法 3つのメリット
以上から、屋内プールや給食センターのような湿気・塩素の影響がある場所では、天井に次のような性能をもたせることが望ましいです。
・防湿性
天井裏へ湿気が入り込まないようにし、設備や下地の腐食を防ぐ
・地震対策
耐震性の確保、もしくは天井材が落下しても重大な被害が生じる可能性を低くする
・改修対応
既存施設の天井の安全性を高めるために改修工事にも対応可能
3つの性能を備えたおすすめの工法が『軽量Aqua天井』(㈱桐井製作所)です。
従来のプール向けの天井工法と比べ、3つのメリットが挙げられます。
メリット1. 防湿性
防湿性は透湿抵抗(水蒸気の通しにくさ)という数値で表すことができます。
検証試験の結果、軽量Aqua天井は構造躯体(コンクリート)と同等以上の防湿性があることが確認されました。
天井裏に湿気を通しにくいため、腐食の防止につながります。
品質性能試験結果(透湿抵抗)
透湿抵抗=[×10-3(m2・S・Pa)/ng]
※2:長期優良住宅認定等に係る技術的審査マニュアルより抜粋
メリット2. 軽量性
仕上材に軽量不燃ボード「Aqua天井用バリシールド」を使用することで、単位面積質量2kg/㎡以下の軽量な吊り天井として設計が可能です(※3)。
万が一天井が落下しても重大な人的被害が生じる可能性を低くできます。
軽量化により特定天井の要件から除外できるため、設備が多くブレースが設置できない天井の地震対策に最適です。
※3:天井形状や割付により、2kg/㎡超となる可能性があります。
メリット3. 改修対応
既存天井の改修では吊り元ピッチを現場に合わせることが求められます。
軽量Aqua天井は吊りボルトピッチ1,800mm以下の設計が可能なため、既存天井の変則的な吊り元ピッチへも柔軟に対応できます(※4)。
※4:2kg/㎡以下の天井とする際は、設計者による単位面積質量の確認が必要です。
軽量Aqua天井は改修工事にも対応可能
まとめ
防湿性の高い工法で、天井裏設備や下地の腐食を防ごう
湿気や塩素が天井に与える影響や、安全な空間づくりに必要となる対策についてご紹介しました。
経年劣化や地震をきっかけとした天井落下を防ぎ、安全な空間とするために、適切な対策を施しましょう。
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