時計をかけたり、テレビを見る時にもたれたり、部屋の四方にある「壁」。
インテリアとして壁紙の色など気にかけている方は多いかと思いますが、壁の中身がどうなっているかご存知でしょうか。
部屋の中に使用されているのはどんな壁?
間仕切り壁について
壁には3種類あります。
① 外周壁(外壁) ... 家の屋外と接している壁
② 戸境壁(界壁) ... 集合住宅で隣の住戸との間の壁
③ 間仕切り壁 ... 屋内の空間を区切るための壁
間仕切り壁は外周壁や戸境壁と異なり、後から移動や撤去、追加をするなどの変更が可能です。
ライフステージに応じて間取りを変えたり、部屋のイメージチェンジをしたりといったように、リフォームがしやすい間仕切り壁の構造についてご紹介します。
■ 間仕切り壁の構造
部屋の中で使用されている間仕切り壁は、LGS や細い木材を下地として使用します。
下地材を等間隔に並べ、石膏ボードなどの板材を張ることで壁ができます。
▼ LGSについての詳しい記事はこちら
内装に使用される壁の中には「ふかし壁」と呼ばれるものがあります。
元々ある壁よりも仕上げ面を前に出すもので、外周壁を一段前に出して室内に見える壁を作ったり、間仕切壁を一段前に出して部分的に壁を出っ張らせたりすることで、室内の意匠性や断熱性、遮音性を高めるなどの効果があります。
ふかし壁も基本的には間仕切り壁と同様にLGS等の下地材で作られます。
壁に求められる強度は?
壁下地材にかかる力について
空間を区切るだけでなく、テレビを掛けたり飾り棚をつけたりなど、間仕切り壁でデザイン性や収納力をアップさせるケースが多く見られます。
こうした場合に注意しておきたいのが、間仕切り壁の強度です。
間仕切り壁に対してどのような強度が必要か明記している法律はありませんが、マンションなどの間仕切り壁では、主に2つの力がかかることが考えられます。
① 地震力
石膏ボードは下地材に留め付けています。
そのため地震によって横方向に揺れ、石膏ボードが動くと、その力が下地材にかかります。
こうした力を想定した「設計用水平震度」を使って、地震力に負けないような壁の強度を算定することが可能です。
「設計用水平震度」とは、地震が起きたときに建物にかかる加速度を表す数値で、いわゆる「震度」とは異なる考え方のものです。
間仕切壁を含む建物の設計をする際は、求められる性能等を考慮して「設計用水平震度」を設定し、その加速度がかかっても破損しないような強度を持たせる必要があります。
② 壁の面を押すような力
壁に人がもたれかかると、面を押す方向の力がかかります。
面の外に向けて働く力のため、このような力を「面外力」と呼ぶこともあります。
このような力に対しても耐えられるような壁を設計する必要があります。
①②のような力がかかると、壁のように真っ直ぐなものは変形してしまいます。
この変形を「たわみ」といいます。
壁のたわみが大きいとクロスが浮いてしまったり、石膏ボードが割れてしまったりする場合があります。
大きな力がかかる場合には、下地材自体が損傷してしまう可能性もあります。
そのようなことを防ぐため、「地震力」や「面外力」を考慮した計画が大切です。
また美術館の収蔵庫やサーバールームなど、水ではなくガスを用いた消火設備がある部屋 では「圧力」にも注意が求められます。
▼ 圧力についての詳しい記事はこちら
壁の種類と間仕切壁に必要な強度について まとめ
壁の種類や、間仕切り壁の構造と必要な強度についてご紹介しました。
強度について基準を示す法律がないため、壁が使用されるシーンを想定し、どのような力が壁にかかるのかを検討することが、部材選びの1つの方法になります。
どのような使い方や性能が必要な部屋なのか、壁にスポットを当てて検討してみてはいかがでしょうか。