この業界ではそこそこ経験を積みましたが、まだまだ成長を続ける建築士ライターU.Yが担当いたします。
私たちが普段生活している室内空間は、快適に過ごせるように工夫が施されています。その一つとして、軽量鉄骨下地(LGS)や乾式二重床が活躍しているのをご存じでしょうか?
一般的な居室は、構造躯体の内側に壁・床・天井があり、そこに壁紙やフローリングを設けて室内空間としています。イメージとしては"躯体の内側に箱(空間)がある"状態です。
この"内側の空間"を構成しているのが内装下地であり、弊社が主に扱っている部材です。
そして"躯体と内装下地"の間の空間を"懐(ふところ)"と呼び、"フトコロタイムズ"の由来にもなっています。
この懐空間は、快適な住環境とするために重要な役割を果たしています。
・断熱
・遮音、吸音
・空調・電気設備の動線確保
ただこの懐は、"大きくなると室内が狭くなる"というデメリットがあります。
今流行りの"スケルトン天井"は、そのデメリット解消を目的の一つとした仕様です。(スケルトン天井のメリットデメリットは以下記事にまとめています)
参照;/articles/trivia-vol19-skeleton.html
「室内空間は広く確保したい」「快適な室内とするため、内装材は設けたい」という要望を受け、"懐を極力狭くする"方法をご用意しています。
今回は"懐が狭い天井仕様"についてお伝えします。
■一般的な天井の構成
一般的な天井に「在来天井」があります。部材構成としては、躯体(吊元)から順に、
①吊りボルト
②ハンガー
③野縁受け
④クリップ
⑤野縁
⑥仕上げ材(石膏ボード・吸音板・クロス等)
となり、JIS19形の天井部材を使用した際の懐寸法は、凡そ130mm程度※となります。
※仕上げ材の厚みは含みません。
では、この天井懐をより小さくするには、どのような方法があるでしょうか。
※ナット上部の10mmは躯体の不陸を加味して設定しています。
■天井懐を小さくする方法1~高さが小さい部材を使用する~
桐井製作所には、上記の②ハンガー・③野縁受けの高さを小さくした部材があります。
この組み合わせを使用することで、天井懐を最小で65mm程度※まで狭めることができ、室内空間を広く確保することができます。
※仕上げ材の厚みは含んでおりません。
◎使用上の注意点
③野縁受けの断面性能が小さくなるほど支える力が弱くなるため、重量が大きい仕上げ材の場合は強度・たわみへの検討が必要です。
仕上げ材の種類や吊りピッチに応じて、適切な組み合わせの選定をお願いします。
■天井懐を小さくする方法2~SQ天井工法を採用する~
桐井製作所には在来天井工法の一つに「SQ天井工法」があります。
このSQ天井工法は、工程の省力化を目的とした内装鋼製下地材工法で、主な構成部材がSQ-BARとスタッドの2種類となっています。
SQ-BARは室内(天井)の大きさ・仕上げ材の重量により使用できるサイズが変わりますが、最小30mm程度※1まで天井懐を狭めることができます。
また、室内の大きさによっては中間吊りが必要となることがあり、中間吊り分天井懐が大きくなるため注意が必要です※2。
※1仕上げ材の厚みは含みません
※2鋼製下地カタログ19ページ SQ-BAR「天井適用スパンの目安」を参照ください
https://www.kirii.co.jp/download/dw/catalog/koseishitaji/book/index.html#target/page_no=20
◎使用上の注意点
SQ天井工法は主に集合住宅の住戸やホテルの客室向けのため、方法1と同様、部材の断面性能が小さいため、重量の大きい仕上げ材には強度・たわみへの検討が必要です。
■天井懐を小さくする方法3~SQスリムシーリング工法を採用する~
天井支持スパンが広く中間吊りが必須となる場合、部屋が大きく天井幅が広い場合、今回ご紹介する中で最も懐を小さくできるのは「SQスリムシーリング工法」です。
こちらの工法もSQ天井工法同様に、集合住宅の住戸やホテルの客室向けの天井工法となりますが、最小懐寸法を40mm程度まで小さくできます。天井懐を極力狭めたい方にオススメです。
■まとめ
天井懐を狭める方法をご紹介しました。
気になる工法がございましたら、お問合せお待ちしています。
(お問合せ:https://www.kirii.co.jp/inquiry/)
▼ 前回の記事はこちら
準構造耐震天井MOKUルーバーのご紹介とインタビュー(加賀木材㈱編)
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