記事は、9月の記事に続き、建築業界ではまだまだ新参者ライター、S・Kが担当いたします。
■準構造耐震天井 MOKUルーバーとは...?
㈱桐井製作所の準構造耐震天井と加賀木材㈱の不燃木材に対応した接合金具『MOKUソエル』をセットにした「耐震不燃木ルーバー工法」です。
※セット商品のため金具のみの販売はおこなっておりません。
■部材特徴
『MOKUソエル』 ㈱桐井製作所
支持構造部とルーバーを接合する金具として『MOKUソエル』を開発しました。この金具は建築物における天井脱落対策に係る技術基準の解説(告示771号)に準じた性能確認試験を実施した準構造耐震天井"に対応しています。
KIRII耐震天井金具の中でも"吊りボルトを使わず、支持構造部と一体化させる"工法で、支持構造部に対するルーバーのレベル調整が可能であり、設置方向も調整することができる製品です。
※設計者の方へ:建築基準法、消防法、その他条例等をご確認の上、ご採用ください。
人が多く行きかう場所などで意匠性を求め、不燃木材を使用されるケースが近年増えており、そういった環境で、さらに安心・安全を付与することが可能な金具です。
『もえんげん ®』は加賀木材㈱の登録商標です。
『もえんげん®すぎ不燃集成材(NM-1716)』 加賀木材㈱
国土交通省の不燃認定品。
近年、DIYでも注目を浴びている木製のルーバーですが、木材を使用することで
スタイリッシュさとシンプルさを兼ね備えたぬくもりを感じられるデザインを求める方に人気があります。
また政府も取り組みを発表している温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの視点からも注目を浴びています。
『もえんげん®』は、米ぬか系油塗料を使用している事により木の呼吸を妨げることなく調湿効果を保てることや、見た目に影響を及ぼす 「液だれ」現象を発生しにくくするホウ酸系薬剤を使用しており、その性能面だけではなく、25色の豊富なカラーバリエーションをご用意し、「高品質×幅広い意匠性」を実現しています。(※特注色にも対応可能)
■インタビュー
商品のことを知っていただければと思い、今回は、開発に携わった二人にインタビューを行いました。
写真左:2020年7月入社 開発部 開発企画グループ 森下
写真右:2015年4月入社 開発部 技術開発グループ 濱崎
■開発に至った経緯を教えてください。
<森下>
「今まで個別に設計していた天然木の天井ルーバーを
自社の耐震金具を使用してパッケージ化することでもっとラクにできないか」
きっかけは、2022年に担当した関東のとある物件の天井の改修でした。
当時、お客様から「カーボンニュートラルの取組として「木材を使用する」ことを意識している。軒天から屋内通路にかけて天井に木材を使用して何かできないか」と相談を受けたことが始まりでした。
改修対象となる天井は、人が多く行き交うことから不燃材を使用しつつも耐震性が求められる物件でした。加賀木材㈱の『もえんげん®』が採用され、それを取り付けるための下地として自社製品の『アジャストソエル』が採用されました。
通常の不燃木材は軒天等の半屋外の環境では「液だれ」現象が起きてしまうといったデメリットが目立っている印象がありましたが、この案件をきっかけに加賀木材㈱の製品の売りが「液だれせず、軒天で使用できる不燃木材」と知り、不燃木材のデメリットが軽減できている製品と、自社の下地材を組み合わせることで今までにない商品ができるかもしれないという考えに至りました。
地方では木材を使用した天井や建築物が多く採用されており、関東圏内では採用されにくい印象がありましたが、この案件をきっかけに関東圏内でも木材製品のニーズがあるという考えが自分の中で確立しました。
また、設計者は不燃木材の選定に加えて、留め付け方法についても悩まれるケースを耳にしたことがあったため、そこにもニーズがあると感じていました。
同時に近年、政府が発表しているカーボンニュートラルに対する意識は、建築業界の中でも大手企業が先陣を切って動き始めているタイミングだったことから、何とか全国に向け商品化できないかと考え始めました。
結果、ルーバー専用の耐震金具ともえんげん®のいくつかのサイズラインナップでパッケージ化することで設計者から施工者に至るまで安心してお使いいただける商品として社内プレゼンし、多くの賛同をもらい商品化への動きが加速しました。
■商品に対するこだわりを教えてください。
<浜﨑>
「何にこだわるかも手探りの状態だった」
開発するにあたり注意しなくてはいけないことが多かった印象があります。
ここでは注意していた例として2つあげたいと思います。
・「特定天井」にてMOKUルーバーの使用を想定すると耐震金具は、耐震天井としての性能を満たす必要があり、また、不燃木材の見た目を邪魔しない金具であることを意識し、
『性能×意匠性』をクリアすることが出来るのか。
・支持構造部に対するルーバーのレベル調整を兼ね備えることが必須条件であり、さらに様々な天井形状に対応できるよう、ルーバー設置方向に自由度を持たせ、多方向へ可動が出来るのか。
最終的には「耐震性・施工性・機能性を兼ね備えた金具」という所にこだわりを持ち、開発を進めました。しかし、悩みだすときりがない部分もあり「まずやってみよう」という気持ちで開発をしていました。
<森下>
「既存のルーバーの再現だけなく遊び心が必要だと思った」
・木ルーバーを水平・鉛直方向に可動させたいというニーズがあるのではないか
・金具に他のカラーバリエーションが必要ではないか
その一方でお客様が製品に対しどのレベルまで求めているかということも
手探りの状態だったため、お客様目線で考えることを軸にし、様々な事に取り組み、開発を行いました。
■開発中大変だった事を教えてください。
<浜﨑、森下>
「お客様の声を聴きながら成長していく。一緒に製品を作っていきたい。」
・実績がない=「お客様のニーズは何か?」を常に模索していく
前項でも記載の通り、木製品と金具のセット販売は、実績がなかったため、
それ以外にどういったニーズがあるのかということも完全に手探りの状態でした。
木材のプロフェッショナルである加賀木材㈱、そして内装下地材のプロフェッショナルとしての㈱桐井製作所だからこそ、この『MOKUルーバー』は生まれたと思います。『MOKUルーバー』は、お客様の声を聴きながら成長していくと感じており、たくさんの方に使用していただき、共により良い商品を作っていきたいと今からワクワクしています。
■まとめ
新商品である『準構造耐震天井 MOKUルーバー』についてご紹介しました。
開発担当である2人の開発者のこだわりもインタビューとして紹介をしましたが、営業目線と開発者目線での話、そして普段聞くことができない開発の裏側も知ることができたのではないかと思います。
ぜひ、製品を検討する際、開発者の強い熱意なども思い出していただけると幸いです。
最後に記事をご覧の皆様にまとめとして、おすすめポイントを4つ紹介します。
・おすすめポイント①:ルーバー専用の耐震金具で準構造耐震天井に対応可能である
・おすすめポイント②:液だれしない、白華に強い
・おすすめポイント③:国土交通省認定の不燃材
・おすすめポイント④:「耐震技術×液だれしない木材」のセット販売
「意匠性のある天井にしたいが耐震のことで不安がある」
「環境に配慮した建築物を考えたい」
「意匠材から下地までのパッケージ製品を紹介してほしい」
など悩まれている方がいらっしゃいましたら、ぜひご検討ください。
次回は、本記事にも紹介させていただいている加賀木材㈱の記事を掲載予定です。
次回記事もぜひ読んでいただけると幸いです。
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