民間建築物も対象となる木材の利用促進
ますます高まる木造建築の需要
脱炭素社会の実現に向けて、建築物への木材利用が推進されています。
2021年には「公共建築物木材利用促進法」が改正され、木材利用を促進する対象が民間の建築物にまで拡大されました。
オフィスビルや大型施設など、住宅以外の分野でも今後ますます木造建築の需要が高まっていくと予想されます。
その一方で、実際の建設現場では次のようなお悩みがあるのではないでしょうか。
・ 木造に対応できる職人さんが足りない
・ 木材特有の反り・割れなどの狂いがあり、施工性に影響が出る
・ 遮音性の低さが気になる
これらの解決策の一つとして、木造建築の内装下地にLGS(軽量鉄骨)を活用する方法について詳しくご紹介します。
▼LGSについての基本情報はこちら
木造建築にLGSを活用
木下地との違いと5つのメリット
木造建築の内装下地をLGSにする場合、木下地と比べてどのようなメリットがあるのか詳しく見ていきましょう。
メリット1. 品質安定性
・ LGSは工業製品であるため、供給と品質が安定しています
・ 木材のように自然素材特有の反り・割れなどの狂いを調整する必要がなく、精度の高い仕上がりを実現できます
・ 木材のように湿気で膨張・収縮しないため、施工後もクロス割れなどの不具合を防ぐことができます
施工後に発生するクロス割れ
メリット2. 施工性
・ LGSは規格で材料をそろえてシステム的に施工することができ、木材よりも工期の短縮が可能です
[木造戸建住宅(30坪程度) 天井の施工時間比較例]
実際に鋼製下地材を採用した現場では、従来の木軸工法に比べて約40~50%の施工時間削減を達成しています。
(※株式会社桐井製作所調べ)
・ 天井に角型スタッド工法を用いると吊り木の数が少なくなり、上を向いた作業時間が削減され、体への負担が軽減されます
メリット3. 遮音性
・ 乾式二重床(バリアレスフロアー)を設置すると、上の階で発生する子どもの飛び跳ねるような音(重量衝撃音)や食器を落としたような音(軽量衝撃音)に対する遮音性を高めることができます
▼乾式二重床について詳しくは
メリット4. 軽量性
・ LGSの方が木材よりも軽く搬入が容易で、建物の床に載る重量が少なくなります
メリット5. 耐食・防虫・不燃性
・ LGSは鋼製のため耐食・防虫・不燃性があり、さまざまな用途や環境下で長期にわたり使用することが可能です
木造とLGSの組み合わせ具体例
施工性・遮音性を高める工夫とは
木造の躯体とLGSの天井・壁下地、乾式二重床の組み合わせには具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
桐井製作所が『第4回 施設リノベーションEXPO』で展示したモックアップをもとにご紹介します。
・ 木造×建築用鋼製天井下地材
木梁に鋼製の吊り天井を組み合わせたモックアップです。
ハンガー下側には「インスタントロック」を取り付けることで、地震や経年によるナットのゆるみを抑え、天井の脱落を防止します。
▼建築用鋼製天井下地材 詳細
https://www.kirii.co.jp/products/ceiling/steel-ceiling.html
▼インスタントロック 詳細
https://www.kirii.co.jp/download/dw/catalog/instantlock.pdf
・ 木造×SQ工法(壁)
ランナーとスタッドの2部材のみで下地を構成できる工法です。
同じ部材で天井下地も構築できるため、スピーディかつ正確な施工を可能にします。
部材のサイズラインナップが豊富で、幅広い用途・室に対応しています。
木材のような収縮が起きないため、施工後も長く美しい仕上がり面を維持できます。
▼SQ工法 詳細
https://www.kirii.co.jp/products/ceiling/sq.html
・ 木造×乾式二重床工法「バリアレスフロアー」
木造の建物で気になることの一つが「音」の問題です。
バリアレスフロアーは支持脚に取り付けられた防振ゴムにより、高い強度と遮音性を備えた床下地工法です。
アスファルト系制振材やユカテック(旭化成建材)を付加することで、より遮音性を高めた仕様になっています。
▼バリアレスフロアー 詳細
https://www.kirii.co.jp/products/floor/barrierless-floor.html
まとめ
木造建築×LGSで施工の効率化を
木造建築の内装下地にLGS(軽量鉄骨)を使うメリットと、具体的な施工例をご紹介しました。
今後、木造の中大規模建築がより一層増えていくことが予想されます。
現場の状況に応じて木下地とLGSをうまく使い分けることが、工期短縮やコストダウンのカギとなります。