観劇や式典など、さまざまな目的で活用される文化ホールや講堂。
私たちの生活の身近にあるこれらの施設について、天井の安全性は確保されているのでしょうか?
本特集では、文化ホール・講堂の天井に求められる耐震対策について全3回に分けてご紹介します。
86%の施設が築20年以上
大規模改修が必要な時期が到来
全国にある文化ホール・講堂等の公立文化施設は、多くが1990年代に建てられました。
実に86%が築20年を超え、大規模改修や施設更新の時期を迎えています。
(社)全国公立文化施設協会調査結果(令和2年2月)より作成
(2021年2月時点)
また地震発生時に避難所や防災拠点となる公共施設には、「機能継続性」を確保することが求められています。
「地震で倒壊しない建物」という最低限の基準にとどまらず、「地震後も安全に使い続けられる建物」であるための対策が必要です。
▼機能継続について詳しくはこちら
そもそも「機能継続」とは? 学校・文化・スポーツ施設に求められる耐震性能
建物の安全性を確保するために
所有者・管理者の義務である「12条点検」
文化ホール・講堂は建築基準法第12条で定められている定期点検の対象に該当します。
建物の所有者・管理者には、定期的に有資格者に目視による天井各部材の点検・調査を行わせ、報告することが義務づけられています。
定期報告を実施しないと罰則の対象となったり、不測の事故が起きた際には社会的責任に問われたりする可能性があります。
ホールを利用する大勢の人々の安全を確保するために、「12条点検」の確実な実施が重要です。
全国の文化ホール・講堂の現状 まとめ
公立文化施設の86%以上が大規模改修の必要な時期を迎えています。
施設を利用する多くの方の安全を守るため、これらの施設の天井は「12条点検」の確実な実施が求められます。
次の記事では「既存不適格」の可能性や、実際の耐震診断で発見された天井崩落の危険性についてご紹介します。
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