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あなたのオフィスの天井はどれ?主要3工法をご紹介

オフィスに使われている天井の工法と、そのメリット・デメリットをご紹介します

あなたのオフィスの天井はどれ?主要3工法をご紹介

天井の構造は、主に「直天井」と「吊り天井」の2種類に分けられます。

→前回の記事「知られざる「天井裏」の世界! 天井の役割と構造」はこちら

私たちが普段働いている日本のオフィスの天井は、実はほとんどが吊り天井で構成されています。
オフィスで採用されている吊り天井には一体どのような工法があるのでしょうか?
代表的な工法と、それらのメリット・デメリットをご紹介します。

オフィスの天井は大きく分けて
「在来工法天井」と「システム天井」の2つ

オフィスで多く採用されている吊り天井の工法は、まず「在来工法天井」と「システム天井」の2つに分けることができます。

■ 在来工法天井とは?そのメリット・デメリットについて知る

天井の下地材(骨組み)に岩綿吸音板や化粧石膏ボードなどの仕上材を張って作る工法です。
日本で最も普及している工法であるため、オフィスのほかに学校や病院などの天井でもよく見かけられます。

室内側から下地材が見えない場合は在来工法天井である可能性が高い
ランダムに穴の開いたような仕上材(岩綿吸音板)がよく用いられている
[在来工法天井のメリット]

・広く普及している工法であるため材料が安く調達できる
・システム天井よりも吸音性が高い
・照明や空調の種類や位置など、自由に仕様を決めることができる

[在来工法天井のデメリット]

・パーテーションや照明、エアコンなどの天井設備を移動させることが難しく、レイアウト変更に対応しにくい

■ システム天井とは?そのメリット・デメリットについて知る

システム天井とは、下地材で作ったフレームに、天井の仕上材と、空調や照明などの設備を嵌め込むようにして組み立てる天井のことです。

オフィスなどの広い空間に、効率的に施工できるシステム天井
[システム天井のメリット]

・下地材と仕上げ材が一体となった施工のため、工期の短縮と工事費の削減につながる
・空調や照明などの設備を、モジュールに合わせてすっきり配置できる
・パーテーションの移動が可能なため、柔軟に室内のレイアウトを変更できる

[システム天井のデメリット]

・仕上材や照明器具等、材料の規格に沿う必要があり、見た目の自由度に制約がある
・耐震対策されていない工法では、地震時に仕上材が落下する恐れがある

■ そもそも照明やエアコン以外の天井設備とは?

通常、オフィスビルなどの大規模な建築物には、照明やエアコン以外にも下記のような天井設備が設けられています。

・各種設備の配管・配線の点検を行うための入り口...点検口

・空気を循環させるための空気吸入口と吹き出し口...換気口

・非常事態が発生した際に備える設備...非常照明、誘導灯、非常放送用スピーカー

・火災の発生に備える設備...スプリンクラー、防煙垂れ壁、煙感知器、熱感知器

このようにオフィスの天井には安全を守るためのさまざまな設備が設置されていますが、システム天井は部分的に仕上板を取り外すことができるため、設備のメンテナンスが容易になるというメリットもあります。

システム天井はさらに
「ラインタイプ」と「グリッドタイプ」の2つに分けられる

システム天井の工法には、「ラインタイプ」と「グリッドタイプ」の2種類があります。

■ ライン天井(ライン型システム天井)とは?

天井の仕上材と、照明や空調等の設備機器をまとめて組み立てた天井です。
室内側から見たときに、一方向のライン上に照明等の機器が並んでいるのが特徴です。

ライン状に仕上材と設備機器が並んでいる見た目が特徴
[ライン天井(ライン型システム天井)のメリット]

・設備ラインのスパンを任意の寸法で決められるため、室内レイアウトに合わせることが可能能

・照明と並行にデスクを配置すると、机上の照度を平均化できる

[ライン天井(ライン型システム天井)のデメリット]

・天井材の形状にあう照明器具が組み込まれているため、照明の方向を変えることが難しい

・仕上材がライン上に配置された下地材に載っているので、地震の揺れで下地材が離れて仕上材が落下する可能性があり、耐震化が難しい

■ グリッド天井(グリッド型システム天井)とは?

天井の下地材(骨組み)が格子状に組まれ、その上に仕上材や照明等がパネルごとにはめ込まれている天井です。

60~64cm角の格子状に組まれているグリッド天井
[グリッド天井(グリッド型システム天井)のメリット]

・仕上材や照明等を部分的に入れ替えることができるため、レイアウト変更に柔軟に対応できる

・仕上材を容易に取り外すことができるので、メンテナンスしやすい

・下地材が格子状に組まれているため仕上げ材が落下しにくく、ライン天井よりも耐震化しやすい

[グリッド天井(グリッド型システム天井)のデメリット]

・仕上材が軽いため、在来工法天井よりも遮音性が劣る場合がある

・仕上材が下地材に載っている(ビス等で固定されていない)状態のため、地震時に縦方向の揺れが大きい場合には仕上材が落下する恐れがある

オフィスで使われる天井の工法についてまとめ

オフィスで採用されている天井の工法や、天井に設置されているさまざまな設備機器についてご紹介しました。

天井の分類を整理すると、次のような図になります。

天井はオフィスの空間を快適にするのみならず、不測の事態が発生した際の安全を確保するための役割を担っています。

あなたのオフィスの天井はどのタイプでしたか?
ぜひ一度、見上げてみてください。


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