もっと天井・壁・床に興味を持っていただきたい!
そんな思いから、名建築や文学作品、絵画などを内装下地材の視点からご紹介するコーナーです。
※本コーナーでご紹介する物件や作品等は、必ずしも当社および当社製品と関係のあるものではありません。
DATA
・日生劇場
・設計:村野藤吾
・竣工:1963年9月
・所在地:東京都千代田区
『日生劇場』は東京・有楽町のオフィス街にある、日本生命日比谷ビルに併設された劇場です。1963年10月のベルリン・ドイツ・オペラによるこけら落とし公演以来、数々のオペラや演劇、コンサートなどを開催してきました。
重厚感のある外観と幻想的な内装は、昭和を代表する名建築の一つとしても高い評価を得ています。
半世紀以上が経っても変わらない魅力を放つ、こだわりの空間についてご紹介します。
エントランスから広がる非日常の空間
細部までこだわりが尽くされた内装
石造りで重厚な雰囲気の外観からエントランスに一歩足を踏み入れると、繊細で華やかな装飾が目に入ります。
Copyright:flickr/lunki.w(https://www.flickr.com/photos/57262567@N04/)
白い大理石の床、アルミ材で幾何学模様が描かれたロビーの天井、ゆるやかにうねる階段や手すりなど、細部にいたるまですべて設計者・村野藤吾がこだわり抜いたデザインが施されています。
赤い絨毯が敷かれた大階段を上がると、いよいよ劇場に入ることができます。
まるで海のなかのような美しさ
曲面で構成された幻想的な劇場
劇場の中は波を打ったような曲面の天井や壁で囲われていて、日常とは隔離された幻想的な空間を構成しています。
Copyright:flickr/lunki.w(https://www.flickr.com/photos/57262567@N04/)
まるで星のようにきらめいているのは、天井に貼られた約2万枚のアコヤ貝。
壁にはガラスタイルのモザイクが貼られ、見る角度によって色鮮やかに輝いています。
他の劇場にはない独特の雰囲気で、一歩足を踏み入れた瞬間に舞台の世界に入り込んでしまうような感覚をもたらします。
実験を繰り返し実現した
曲面デザインと高い音響効果の両立
劇場をつくるにあたり音響は非常に重要なポイントの一つです。
日生劇場では自由な曲面形状のデザインと音響効果を両立させるために、設計・施工の段階で模型による音響実験が行われ、微修正を繰り返しながら形状が決められていったそうです。
こだわりと技術力の賜物として、日生劇場は音響効果が非常に高いことでも知られています。
Copyright:flickr/lunki.w(https://www.flickr.com/photos/57262567@N04/)
日生劇場の華やかさの中には、緻密なデザインと技術が込められています。
公演の合間に建物の魅力にも目を向けてみると、一層素敵 な思い出になりそうです。
※本コラムで紹介する物件は、必ずしも当社製品の採用例ではありません。