平成30年、国土交通省によって『防災拠点等となる建築物に係る機能継続ガイドライン』がとりまとめられました。
避難所や防災拠点となる建物には、大地震が発生しても機能継続できる性能が求められています。
本特集では、特に学校・文化・スポーツ施設の機能継続に関わるポイントを全3回に分けてご紹介します。
機能継続ガイドラインからひも解く
天井の耐震設計・施工のポイント
機能継続性のある建物とするために、天井にはどのような対策が求められるのでしょうか?
『防災拠点等となる建築物に係る機能継続ガイドライン』から、天井(非構造部材)の耐震設計に関するポイントを解説します。
※非構造部材とは:
柱、梁、床等の構造体以外の、外壁、扉、ガラス、天井、間仕切り等のこと。
ポイント 1
震度6強以上の大地震がターゲット
前提として、大地震が発生しても安全性・機能継続性が確保できる天井であることがターゲットとして示されています。
大地震とは、最も強い震度である6強~7相当の地震のことを指します。
建築基準法では、特定天井について中地震 震度5弱~5強相当で天井が損傷しないことを定めているのに比べると、防災拠点等となる建築物については一段高いレベルでの耐震性能が求められていることがわかります。
ポイント 2
すべての天井について機能継続の必要性を検討
これまでの指針等では天井の耐震設計は主に特定天井が対象とされてきましたが、本ガイドラインでは建物内のすべての天井について機能継続の必要性を検討し、対策をとることが求められています。
また耐震設計にとどまらず、設計に従って建確実に施工することについても言及されています。
ポイント 3
構造体の変形に追従する天井を構成する
公共施設や文化・スポーツ施設などの建物で多く採用されている吊り天井は、地震が発生するとブランコのように揺れ、壁に衝突する部分から損傷・落下してしまいます。
「構造体の変形に追従する」とは、地震発生時に構造体の揺れと一体となって天井が動く状態や、別々に動いても壁などに衝突しないようあらかじめスキマを設けた状態を指します。
「吊らない天井」 を構成する準構造耐震天井工法や、適切な設計をした耐震天井などの対策が求められます。
ガイドラインに沿った天井を実現するには?
場所別 推奨工法
■ 高くて広い空間に最適な「吊らない天井」
例:音楽ホール
アリーナや音楽ホール、エントランスなど広くて高い空間の天井は特定天井に該当する場合があります。
KIRIIアングルクランプは「吊らない天井」を構成することで特定天井の要件を回避し、構造体と一体となって動く剛な天井を実現することが可能です。
■ 特定室や機能停止が許されない室の天井
例:中央管理室
災害対策本部を設置する部屋や中央管理室、避難経路などの天井は、建物の機能継続のために耐震設計が求められます。
緊結在来天井は衝撃試験で性能を確認したパーツを使用して接合部を緊結させる工法です。官庁施設の設計に適用される建築設計基準に対応しています。
■ 文部科学省基準への準拠が必要な天井
例:講堂、大教室
文部科学省の『学校施設における天井等落下防止対策のための手引き』では、「高さが6m超」または「面積が200㎡超」のいずれかに該当する天井は、特定天井と同様の対策を実施することを求めています。
新耐震Full Power天井は国土交通省告示第771号で規定された特定天井の設計を実現できる耐震天井工法です。
天井の耐震設計・施工のポイント まとめ
『防災拠点等となる建築物に係る機能継続ガイドライン』から、天井(非構造部材)の耐震設計に関するポイントを解説しました。
機能継続ガイドラインへの対応方法や天井の耐震対策など、より詳しい情報やご質問等はこちらからお気軽にお問合せください。