昨今、3Dプリンターによる技術が目覚ましい発展を遂げ、大手ゼネコンや勢いのあるベンチャー企業などによって、とうとう確認申請が承認された建築物までもが実現するようになりました。
幅広い業界での経験を基に、建材業界へ新規参入。
新しいことを柔軟に楽しむのを信条に、情報発信しています。 ライター:S.T
1. 建設用3Dプリンターによる建築物とは
一般的に、建設用3Dプリンティング技術を使って建築されたものを指し、従来と比較して設計や施工方法が大きく異なっているのが特徴です。
現状では明確な呼称は存在せず、『3Dプリント建築/3Dプリンター建築/3Dプリンター住宅』など、様々な表現で呼ばれています。
3Dプリントされた建築物の用途は住宅に限らず、サウナや美容室など多岐にわたります。特に、一部の住宅プロジェクトや能登半島沖地震の被災者向けの災害復興用住宅としても注目されています。
建設用3Dプリンティング技術には、高精度なスキャナーや大規模な構造物を作成できる大型プリンターが含まれます。また、積み重ねる以外の新たな出力方法や、建設用3Dプリンター向けの材料の開発も進んでいます。
2. 3Dプリンターで使用する建設用の材料について
特殊モルタルのようなセメント系の材料が主力ですが、他にもポリマー、ステンレス、マルエージング鋼、アルミニウム、セラミックなども3Dプリンターで立体形状を製作するために使用されています。
また、耐久性の高い屋根材や壁材の開発も進められており、昨年にはドイツの研究チームが焼結不要な石英ガラスのプリント方法の開発を成功させたことで、今後は窓を含む全てが3Dプリンターで製作された、自由度の高いデザインの登場が期待されます。
このほか、廃材やリサイクル材を流用したSDGsに配慮した取り組みや、流量に適応して太さが変わるパイプ、組み立て不要な建造物、自己修復機能を持つスマート材料を用いた技術(4Dプリンティング)などの研究・開発も進んでおり、建設業界でも活用されることが予想されます。
3.メリットとデメリット
メリットとしては、小規模な建物であればわずか3日程度で建設が完了するため、工期の短縮とコストの削減が可能です。また、環境負荷の軽減や自由なデザインなども挙げられます。
一方、デメリットとしては、現段階での実用性や汎用性の低さ、投資コスト、建設場所の制約、耐久性の課題などがあります。特に初期段階ではこれらの問題が顕著です。
短期的にはデメリットが目立ちますが、技術や素材が安定し、長期的な視点で見るとメリットが多くなることが予想されます。その結果、安価で丈夫な理想的な物件が広く普及することが想定されています。
4. まとめ
建設用3Dプリンターによる建築物や、3Dプリンターで使用する建設用の材料は、その技術革新と普及により、近い未来、建築・建設業界全体に革命をもたらす可能性を秘めています。
私たちの生活や仕事がどのように変わっていくのか、読者の皆様と共に業界の未来に期待していきたいと思います。